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出産育児一時金の差額申請書の書き方・手続きをわかりやすく解説

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目次

出産育児一時金よりも出産費用の方が少ない場合、健康保険組合等から差額が被保険者に支給されます。

ただ、出産育児一時金の直接支払制度を利用した場合、差額の請求は被保険者自身が行わなければなりません。

差額請求の申請方法や手続きについて、よくわからないという方も多いと思います。

そこで今回は、出産育児一時金の差額を申請する際の、手続きや申請書の書き方などについて、わかりやすく解説をしたいと思います。

出産育児一時金の差額を請求することができます


出産育児一時金の「直接支払制度」を利用し、出産費用が出産育児一時金の支給額よりも少なかった場合、出産後に、協会けんぽ、又は健康保険組合に対して、差額の請求をすることができます。

例えば、実際にかかった出産費用が40万円、出産育児一時金の支給額が42万円の場合、2万円の差額を請求することができるのです。

差額の申請が必要となるのは、被保険者等が直接支払制度を利用した場合です。

受取代理制度を利用した場合は、差額が発生しても特に申請手続きなどは必要ありません。

差額を請求する際の流れ

まず、被保険者または被扶養者が医療機関等で直接支払制度を利用し、出産をします。

その後、医療機関等から領収・明細書が交付されるので、差額が発生しているかどうかを確認します。

出産後2~3か月後に協会けんぽ又は健康保険組合から、「出産育児一時金等支給決定通知書」が送られてきますので、差額が発生している場合には、同封されている差額申請書を記入し、協会けんぽ等に提出をします。

差額を請求する際の手続き・申請書の書き方のポイント

差額を請求する際の手続きは次の通りです。

必要書類健康保険 被保険者(家族)出産育児一時金内払金支払い依頼書・差額申請書
目的出産費用と出産育児一時金の差額の請求
提出先事業所所在地の協会けんぽ都道府県支部、又は健康保険組合
提出期限出産日の翌日から2年以内
添付書類特になし

出産後2~3か月後に、協会けんぽ、又は健康保険組合から差額申請の案内(支給決定通知書)が被保険者の自宅宛てに送付されます。

同封されている申請書の、「差額申請書」に〇を付け、その他の欄を記入して提出します。

ただ、健康保険組合によっては、申請書の提出が不要のケースもあるため、出産時、あらかじめ健康保険組合に確認するようにしましょう。

内払金の請求も可能

支給決定通知書が送られてくるのは出産後2~3か月経過後であるため、差額を受け取れるのは早くてもそれ以降ということになります。

しかし、もっと早く差額を受け取りたいという方は、内払いを利用することも可能です。

内払いを利用する場合は、「健康保険 被保険者(家族)出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書」を協会けんぽ等からダウンロードし、「内払金支払依頼書」に〇を付けて、申請をします。

内払金の請求をする場合、添付書類として次の書類が必要になります。

  • 医療機関等から交付される直接支払制度に係る代理契約に関する書類のコピー
  • 出産費用の領収、明細書のコピー
  • 申請書に医師の証明がない場合は戸籍謄本など出生が確認できる公的書類

出産費用が出産育児一時金を上回った場合

差額を請求できるのは、出産費用が出産育児一時金よりも少なかった場合です。

逆に、出産費用が出産育児一時金を上回った場合は、差額を医療機関等に支払わなければなりません。

このとき、特別な手続き等は必要ありません。

出産育児一時金の申請方法

出産育児一時金の申請方法については、直接支払制度と受取代理制度の大きく2つがあります。

どちらも、被保険者等が安心して出産できるよう、出産費用の窓口負担を軽減するための制度です。

直接支払制度と手続き

直接支払制度は、被保険者と医療機関等が代理契約を締結することで、医療機関等が被保険者に代わって、出産育児一時金の請求と受け取りを行う制度です。

手続きとしては、出産前、被保険者はあらかじめ医療機関等に対して被保険者証を提示します。

出産後、退院までの間に、医療機関等との間で「直接支払制度の利用に合意する文書」に同意することで、医療機関等は被保険者に代わって協会けんぽ、又は健康保険組合に出産育児一時金を請求することができます。

受取代理制度と手続き

受取代理制度は、被保険者に支払われる出産育児一時金の内、出産費用分を医療機関等が被保険者に代わって受け取る制度です。

直接支払制度と同じく、被保険者等は大きな窓口費用を負担することなく、出産をすることができます。

直接支払制度との大きな違いは、あらかじめ被保険者等の申請手続きが必要という点です。

直接支払制度の場合、出産育児一時金の申請手続き等は医療機関が行ってくれます。

これに対して、受取代理制度を利用する場合、被保険者等が出産予定日の2か月前以降に、受取代理申請書を作成し、管轄の協会けんぽ、又は健康保険組合に提出しなければなりません。

また、受取代理制度を利用できるのは、厚生労働省に届出をした小規模医療機関に限られています。

受取代理制度を希望する場合は、あらかじめ医療機関等に確認するようにしましょう。



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そもそも出産育児一時金は、少子高齢化対策として、女性が出産費用の心配をすることなく安心して出産できるよう創設された制度です。

しかし近年、出産費用が高騰し、出産育児一時金だけでは出産費用を賄いきれないことが社会問題となっていました。

現在(2022年12月)、出産育児一時金の支給額は、原則として42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関の場合は40.8万円)です。

これに対して、厚労省の調査では、2022年の出産費平均は約47万円となっており、約5万円を自費で負担しなければならなくなっています。

このような状況の中、政府は、出産育児一時金を増額する見通しであることを明らかにしました。

詳細についてはまだ明らかになっていませんが、予算調整がスムーズにいけば、支給額が42万円から50万円に引き上げられ、2023年4月から実施される見通しです。


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まとめ

直接支払制度を利用して出産し、出産育児一時金よりも出産費用が少なく差額が発生した場合、被保険者等はその差額を健康保険組合等に請求することができます。

申請の手続きとしては、出産から2~3か月後に支給決定通所が自宅に送られてきますので、同封されている差額申請書を、管轄の協会けんぽ又は健康保険組合に提出をします。

受取代理制度の場合、差額の請求について特に手続きの必要はありませんが、直接支払制度の場合は差額の申請手続きが必要なので注意しましょう。

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