育児休業はいつからいつまで?取得期間や回数、手続きを解説します
昨今、企業等で働く女性の80%以上が、育児休業を取得しています。
また、男性の育児休業取得率は、昨年度13.97%と前年度を1.3ポイント上回る結果となっており、過去最高となっています。
男女を問わず、仕事と育児の両立を考えている従業員は増えています。
しかし育休を取得する従業員は、さまざまな不安を抱えています。
不安は、育休の休業期間がどのくらいなのか、保育園に入所できなかった場合の対応、休業期間中の収入等、多岐にわたります。
人事担当者は、不安を抱えた従業員をサポートできるよう、育児休業に関する制度についてきちんと理解しておかなくてはなりません。
そこで今回は、育児休業の期間や手続き内容について、わかりやすく解説をしていきたいと思います。
育児休業の取得期間について
育児休業は、男性と出産をした女性とで開始時期が異なります。
女性の場合、産後8週間の産後休業が終わった翌日から、対象となる子が1歳に達する(1歳の誕生日の前日)まで取得することができます。
男性の場合は、対象の子が産まれた日から、対象となる子が1歳に達する(1歳の誕生日の前日)まで取得することができます。
また、一定の要件を満たし「パパ・ママ育休プラス」を利用した場合は、育児休業期間は1歳2か月に達するまでとなり、2か月延長されます。
上記はあくまで、法律で定められた育児休業の取得期間です。
法定の育児休業とは別に、会社ごとで任意に定める育児休業制度もあります。
会社ごとに取得期間や条件は異なるため、人事担当者として法定規定および自社の規定についてもきちんと理解しておきましょう。
取得できる回数は原則2回
育休を取得できる回数は「原則2回」です。
2022年9月30日まで「子1人につき、原則として1回」でしたが、法改正により、2022年10月1日以降は「子1人につき、原則2回」取得することが可能になりました。
理由を問わず、2回まで分割して取得することができるようになったことで、夫婦間で取得時期をずらして育休を取得する等の柔軟な働き方も可能となっています。
育児休業中のお金のお話(給付金・社会保険料の免除)
育児休業期間中は、基本的には会社からの給料は入りません。
一方で、育児休業を取得している従業員には、雇用保険から育児休業給付金が支払われます。
育児休業給付金は、当該従業員が育児休業開始後2か月(2か月未満の育児休業の場合はその期間経過後)を経過した日以降、会社(人事担当者)がハローワークに支給申請書を提出します。
そのため、従業員の口座に初めて入金されるのは、およそ3か月後と説明しておくと良いでしょう。
また、2回目以降の手続きは、会社(人事担当者)が2か月ごとにハローワークに申請することとなります。
そのため、従業員の口座には初回の支給以降、2か月に1度入金が行われることとなります。
また、育児休業中は社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が免除となります。
会社(人事担当者)が届出を行うことで、被保険者本人負担分および会社負担分ともに免除となるため、忘れずに手続きを行いましょう。
重要な収入源となる育児休業給付金、社会保険料の負担がなくなる保険料免除の手続きは、ともに育児休業中の従業員にとって、とても大切な手続きとなります。
忘れずに、正しく届出を行いましょう。
育児休業の手続きの流れと注意点
育児休業を取得するために必要な手続きの流れとそれぞれの注意点を解説します。
①従業員から育児休業の申し出があった場合、休業開始予定日の1か月前までに「育児休業申出書」で申請を受ける
※従業員が育児休業の取得対象者(法令および社内規定)であるか確認しましょう。
②「育児休業申出書」の提出があったあと、人事担当者はおおむね2週間以内に「育児休業取扱通知書」を作成し、従業員へ交付する
※育児休業の取得対象者の条件に該当しないときは、理由を記載して通知しましょう。
③人事担当者は当該従業員が育児休業に入ったら「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届(以下「育児休業等取得者申出書」)」を年金事務所または事務センターへ提出
※年金事務所または事務センターへ提出することで、協会けんぽへの別途届出は不要となります。自社健保の場合は、「育児休業等取得者申出書」を自社健保の担当窓口へ提出します。
※育児休業を“終了予定年月日”で終了する場合は、再度の届出は不要ですが、“予定よりも早く終了する、又は延長する場合”については再度の届出が必要なので注意しましょう。
④人事担当者は、“育児休業給付金”の申請手続きをハローワークに行う
※提出時期;(初回)当該従業員が育児休業開始後2か月を経過した日以降~4か月を経過する日の属する月の末日まで。(2回目以降)2か月に一度
育児休業の延長は可能?
育児休業は延長することが可能です。
しかし延長するためには、次の条件を満たす必要があります。
- 子どもが1歳になる誕生日の前日(再延長の場合は1歳6か月になる前日)までに、いずれかの親が育児休業を取得中であり、かつ次の事情がある場合
- 保育所等への入所を希望し申し込みを行っているが入所できない場合
- 子の養育を行っている配偶者であって、1歳以降子の養育予定者が死亡、負傷、疾病等により子を養育することが困難になった場合
これらの条件を満たした場合、1歳6か月まで(再延長で2歳まで)育児休業を延長することができます。
まとめ
共働き世帯は、男性雇用者世帯のうち6割を超えるとされています。
仕事と育児を両立させるために、育児休業を取得しキャリアを続ける従業員は今後も増えていくことでしょう。
人事担当者は、育児休業制度をきちんと理解し、正しく手続きを行うことができるように知識を習得しましょう。
従業員の育児休業に関するご質問、ご相談はSATO社会保険労務士法人までお問合せ下さい。