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【2023年4月】男性従業員の育休取得率公表義務化、違反したらどうなる?

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2023年4月から、従業員が1000人を超える企業では、男性従業員の育休取得率の公表が義務付けられます。

担当者は、育休取得率の算定方法や算定期間、公表方法などしっかりと把握したうえで、なるべく早めに準備に取り掛かりましょう。

ただ、もし公表を怠ってしまった場合など、公表義務に違反してしまった場合はどうなってしまうのでしょうか。

今回は、育休取得率の公表義務に企業が違反した場合にどうなるのか、解説をしたいと思います。

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男性従業員の育休取得率の公表義務化とは?


これまで政府では、男女ともに仕事と育児が両立できる社会を目指すため、育休取得率の向上に取り組んできました。

しかし、2022年の厚労省の発表では、女性の育休取得率は約85%だったのに対し、男性の育休取得率はわずか約14%にとどまっています。

そこで、男性従業員の育休取得率向上を主な目的として、改正育児介護休業法が2021年6月に公布されました。

改正育児介護休業法は3段階に分けて施行され、2023年4月1日には、従業員1000人を超える企業に対し、男性社員の育休取得率を年1回以上、公表することが義務付けられます。

常時雇用する労働者の意味

今回、育休取得率の公表が義務付けられるのは、「常時雇用する労働者が1000人を超える事業主」です。

「常時雇用する」とは、事実上期間の定めなく雇用されている労働者のことをいい、正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員なども含まれる可能性があるので注意しましょう。

具体的には次の2つのいずれかに該当する労働者が「常時雇用する労働者」にあたります。

  1. 期間の定めなく雇用されている者
  2. 過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者または雇い入れのときから1年以上引き続き雇用されることが見込まれる者

例えば、雇用契約上は1か月間の有期雇用契約であっても、これを何度も繰り返し、1年以上雇用している、又は、1年以上雇用することが見込まれる場合は、「常時雇用する労働者」にあたります。

違反した場合は行政指導や企業名公表のおそれ

2023年4月から、従業員1000人を超える企業は、男性社員の育休取得率を年1回以上公表することが義務付けられます。

では、この公表義務に違反した場合はどうなるのでしょうか。

例えば、企業が男性従業員の育休取得率を公表しなかったり、内容を偽って公表した場合です。

この点について、育児介護休業法では、「厚生労働大臣は必要があるときは事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。」としています。

そのため、企業が育休取得率を公表をしなかった場合や、公表内容が誤っていた場合については、まず行政から正しく公表するよう助言を受ける、または、経緯の報告を求められるなどが考えられます。

事業主が報告に応じなかったり、虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料を受ける可能性があります。

また、事業主が行政の勧告に応じない場合、厚生労働省はHP等にその企業名を公表することができます。

法令違反で企業名が公表されると、企業の社会的信用が低下し、営業活動だけでなく採用活動などにも大きな影響を与えるおそれがあります。

該当する企業は、必ず正しい情報を公表するようにしましょう。

育休取得率の公表方法は大きく2つ

厚生労働省によると、男性従業員の育休取得率の公表方法は次の2つです。

  • インターネット
  • その他適切な方法

インターネットによる場合は、自社のHP等に掲載するほか、厚生労働省が運営しているウェブサイト「両立支援のひろば」に掲載することも可能です。

両立支援のひろばは、企業による仕事と家庭の両立支援に関する取組みを紹介しているウェブページです。

その他適切な方法について、厚労省では具体的な方法は示されていませんが、広く一般の方に周知することが必要となるため、官報や日刊新聞等への掲載が考えられます。

ただ、費用などのことを考慮すると、インターネットを活用するのが最も効果的といえます。

育休取得率の計算方法


公表しなければならない男性従業員の育休取得率は次の2つのいずれかの方法によって計算をします。

  1. 育休等を取得した男性従業員の数/配偶者が出産した男性従業員の数
  2. (育休等を取得した男性従業員の数+小学校就学の始期に達するまでの子の育児を目的とした企業の休暇制度を利用した男性従業員の数)/配偶者が出産した男性従業員の数

育休等には、今回の改正育児介護休業法で新設された出生時育児休業(産後パパ育休)も含まれます。

子の育児を目的とした企業の休暇制度には、例えば、子の養育のために有給を取得できる「出産時休暇制度」や配偶者が出産する際に取得できる「配偶者出産休暇制度」などがあります。

先ほど紹介した、厚生労働省が運営する両立支援サイト「両立支援のひろば」では、企業独自の育児休暇が掲載されていますので、もし興味のある事業者は、参考にするとよいでしょう。


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まとめ

2023年4月から、従業員1000人超えの企業では、男性従業員の育休取得率の公表が義務化されます。

この義務に違反した場合、厚生労働大臣から、報告を求められたり、助言・指導・勧告を受ける可能性があります。

報告に応じなかったり、虚偽の報告をした企業は、20万円以下の過料に処せられる可能性があります。

また、勧告に応じなかった場合、厚労省はその企業名を公表することができます。

企業名が公表された場合、社会的信用の低下や社内モラルの低下など、さまざまな影響が考えられるので、対象となる企業は、必ず公表するようにしましょう。

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