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労務関係

随時改定(月変)とは?要件や条件をわかりやすく解説

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目次

随時改定は内容や、要件・条件が分かりにくく、あまり得意じゃないという担当者の方も多いと思います。

ただ、随時改定を適切に行わないと、行政機関から指摘されたり、遡及処理が必要になる、労使のトラブルにつながる等の可能性があります。

そこで今回は、経営者や人事担当者に向けて、随時改定の意味やその要件・条件について、わかりやすく解説したいと思います。



随時改定(月変)とは?


随時改定とは、従業員の報酬が大きく変動した場合に、それを社会保険料に反映させるための手続きのことをいいます。

社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は、標準報酬月額にそれぞれの保険料率を乗じて算出します。

標準報酬月額とは、社会保険料を計算しやすくするため、従業員の給与等を一定の範囲(等級)で区分して表したものです。

健康保険の場合は1〜50等級、厚生年金保険の場合は1〜32等級に区分されています。

従業員の給与は昇給や降給などにより変動するため、毎年1回、決まった時期にすべての被保険者を対象として、標準報酬月額の見直しが行われます。これを「定時決定」または「定時改定」といいます。

しかし、定時決定だけでは、年度の途中に給与の大きな変動があった場合に対応することができず、適切に社会保険料を算出することができません。

例えば、12月に大きな降給があった場合に、次の定時決定まで標準報酬月額が見直されないとすると、その間、給与に対して高額な社会保険料を負担しなければならなくなってしまいます。

そこで、年度の途中であっても、給与等に大きな変動があった場合、定時決定をまたずに標準報酬月額の改定が行われます。

これを「随時改定」といいます。

ちなみに随時改定は、月額変更届という書類を管轄の年金事務所に提出して行うので、実務者の間では随時改定のことを「月額変更」や「月変」と呼びます。


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従業員の給料から適切な社会保険料を算出するためには、随時改定のチェックや手続きが欠かせません。

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随時改定の要件・条件3つ


随時改定は、従業員の給与等に変動があった場合に、それを社会保険料に反映させるための手続きです。

ただ、わずかな給与の変動について随時改定が必要とすると、会社側に大きな負担となってしまいます。

そこで、随時改定は大きな報酬の変更など、一定の要件に該当する場合にのみ行われます。

具体的には、従業員が次の3つの条件・要件すべてに該当する場合に随時改定が行われます。

  1. 昇給または降給等により固定的賃金に変動があった
  2. 固定的賃金が変動する前の標準報酬月額と、変動月から3カ月間に支給された報酬の平均月額に該当する標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じたこと
  3. 3カ月とも支払基礎日数が17日以上あること

下記では、それぞれの条件・要件について詳しく解説をしていきます。

昇給または降給等により固定的賃金に変動があった

随時改定(月変)が行われる一つ目の要件・条件は「固定的賃金に変動があったこと」です。

固定的賃金とは、従業員の労働時間や働き方等に関係なく一定額が支給される報酬のことをいいます。

例えば、基本給や通勤手当、家族手当、役職手当などが固定的賃金にあたります。

逆に、従業員の労働時間や働き方等によって上下する報酬は、「非固定的賃金」といいます。

残業手当や皆勤手当、インセンティブなどが非固定的賃金にあたります。

月給制から時給制への変更、新しい手当の創設のような給与体系の変更は固定的賃金の変動に含まれます。

標準報酬月額に2等級以上の差が生じたこと

随時改定は、固定的賃金が変動する前の標準報酬月額と、変動月から3か月間に支給された平均報酬月額に該当する標準報酬月額との間に、2等級以上の差が生じた場合に行われます。

注意するポイントは、3か月の平均報酬月額を算出する際は、固定的賃金だけでなく非固定的賃金も含めて計算するという点です。

そのため、固定的賃金の変動は2等級に満たなかったが、残業手当などの非固定的賃金も併せると2等級以上の差が生じているという場合も、随時改定が必要です。

間違いやすいポイントなので注意しましょう。

3カ月とも支払基礎日数が17日以上あること

随時改定3つ目の要件は、「3カ月とも支払基礎日数が17日以上あること」です。

支払基礎日数とは給与計算の対象となる労働日数のことをいい、月給制の場合は暦日数が支払基礎日数となります。

例えば、月末締め・翌月15日払いの会社が3月分の給与を4月15日に支払う場合、3月の暦日数は31日であるため、4月の支払基礎日数は31日となります。

日給制や時給制の場合は、出勤した日数が支払基礎日数となります。

固定的賃金の変動月から3か月間の支払基礎日数が、いずれも17日以上であることが随時改定の要件となります。

ただ、特定適用事業所に勤務する短時間労働者の場合は11日以上が条件となります。

特定適用事業所とは、簡単にいうと社会保険の被保険者数が100人を超える事業所のことをいいます。(令和6年10月以降は50人を超える事業所)



随時改定の手続き

従業員が随時改定の要件・条件をすべて満たす場合、会社は届出をしなければなりません。

具体的には、「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届」を作成し、事業所を管轄する年金事務所に提出します。

提出方法は、窓口への持参、郵送、電子申請の3つがあります。

提出期限について、具体的な期限は定められていませんが、事業者は「速やかに」届出を行う必要があります。

添付書類は原則として必要ありません。

該当する従業員がいる場合は、すぐに手続きをするようにしましょう。

随時改定を忘れてしまったら

従業員が随時改定の要件に該当する場合、会社は速やかに管轄の年金事務所で手続きをしなければなりません。

会社が随時改定を速やかに行わなかった場合、健康保険法等では罰則(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)が定められていますが、すぐに年金事務所に連絡をすれば、罰則が適用されることはほとんどありません。

ただ、随時改定を忘れていると、年金事務所から指摘が入り、過去に遡って届け出をやり直さなければならない可能性があります。

社会保険料の計算や届出をやり直すのは、とても煩雑で時間や手間がかかります。

経営者や担当者は、毎月、随時改定に該当する従業員がいないかどうかチェックしましょう。


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まとめ

随時改定(月変)とは、従業員の給与等の変動を社会保険料に反映させるための手続きの1つです。

随時改定は、従業員が次の3つの要件・条件全てに該当する場合に行います。

  1. 昇給または降給等により固定的賃金に変動があった
  2. 固定的賃金が変動する前の標準報酬月額と、変動月から3カ月間に支給された報酬の平均月額に該当する標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じたこと
  3. 3カ月とも支払基礎日数が17日以上あること

随時改定に該当する従業員がいる場合、会社は月額変更届を作成し、速やかに管轄の年金事務所に届出をしなければなりません。

提出が遅れても、法令違反で処罰されることはほとんどありませんが、年金事務所から指摘される可能性があります。

経営者や担当者は、これらの要件に該当する従業員がいないかどうか、毎月チェックをすることが重要です。

もし、随時改定やその他の社会保険手続きについて、お困りの方は、ぜひSATO社会保険労務士法人まで気軽にご相談ください。



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