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夜間の大学生アルバイトを雇う場合、社会保険に加入させなければならない?

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最近、働き方の幅が広がり、昼間はアルバイトをして、夜間に大学に通うという方も多くなってきています。

そのため、夜間大学に通う応募者からアルバイトの応募が来たというケースもあるかと思います。

では、夜間の大学生アルバイトを採用する場合、会社はその従業員を、社会保険に加入させなければならないのでしょうか。

今回は、夜間大学生のアルバイトと社会保険の加入義務について、わかりやすく解説をします。

基本的に夜間の大学生アルバイトも社会保険の加入義務があります

まず前提として、社会保険の適用事業所で働く従業員は、社員やパート、アルバイトなどの名称を問わず、原則として全員が社会保険に加入しなければなりません。

社会保険の適用事業所というのは、法人や、従業員5人以上の個人事業所など、社会保険が適用される事業所のことをいいます。

ですから、夜間の大学生アルバイトを採用する場合であっても、社会保険に加入させなければならないのが基本です。

ただし、これには例外がいくつかあります。

その例外の1つが、従業員の労働時間が短いケースです。

短時間労働者の例外と要件

アルバイトやパート従業員であっても、社会保険に加入するのが原則です。

ただし、他の従業員と比べて労働時間が短い場合には、例外的に、社会保険に加入させる必要はありません。

具体的には、1週間の所定労働時間または1か月の所定労働日数が、一般社員と比べて、4分の3未満であって、かつ、次の5つの要件のいずれかに該当する場合は、社会保険に加入させる必要はありません。

  1. 勤務する事業所が特定適用事業所にあたらないこと
  2. 週の所定労働時間が20時間未満であること
  3. 2か月以上の雇用期間が見込まれないこと
  4. 月額賃金が88,000円未満であること
  5. 学生であること

それぞれの要件について詳しく見ていきます。

勤務する事業所が特定適用事業所にあたらないこと

特定適用事業所とは、社会保険(厚生年金)の被保険者が101人以上いる事業所のことをいいます。

以前、この特定適用事業所は、社会保険の被保険者が501人以上の事業所のことをいいましたが、法改正によって、2022年10月以降は101人まで適用範囲が拡大されました。

今後、さらに社会保険の適用範囲は拡大され、2024年10月からは50人以上となります。

事業所が複数ある場合であっても、事業主が同一であれば、被保険者数は各事業所の総数で判断をします。

1週間の所定労働時間が20時間未満であること

所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書などで定められている、その従業員が1週間に勤務することとされている時間のことです。

そのため、たまたま繁忙期で20時間を超えたとしても、雇用契約書に記載された労働時間が1週間に20時間未満であれば、この要件に該当します。

もし、従業員の所定労働時間が1か月単位で定められている場合は、1か月の所定労働時間に12分の52を乗じて、週の所定労働時間を算出します。

12分の52という数字の根拠は、1年間の月数を12、週数を52として、1週間の所定労働時間に換算するものです。

そのため、例えば1ヵ月の所定労働時間が80時間の場合、80×12÷52=18.46なので20時間未満となります。

2か月以上の雇用期間が見込まれないこと

雇用期間については、基本的に就業規則や雇用契約書に基づいて判断をします。

雇用期間が2か月未満だったとしても、雇用契約書等に、その契約が更新される、または更新の可能性があると明示されている場合は2ヵ月以上の雇用期間が見込まれると判断されます。

また、雇用契約書等にそのような記載がない場合であっても、同様の契約で雇用された他の従業員が過去に更新された実績がある場合、同じく2ヶ月以上の雇用が見込まれると判断される可能性があります。

月額賃金が88,000円未満であること

雇用契約書に記載されている賃金が、時給、日給、週給の場合は、月給に換算して判断します。

時間外労働に対して支払われる賃金や、通勤手当、家族手当など、一定の手当については、除きます。

学生であること

従業員の週の所定労働時間と月の所定労働日数が一般社員の4分の3未満であって、かつ、学生である場合、社会保険に加入させる必要はありません。

そのため、夜間の大学生アルバイトについても、勤務時間が短い場合は「社会保険に加入させる必要はない」と考える方もいるかと思います。

ですが、ここでいう学生とは、大学や高等学校、専修学校、各種学校(修業年限が1年以上の課程に限る)等に在学する生徒や学生のことをいい、夜間の大学や高校に通う人は含まれません。

そのため、夜間の大学生アルバイトについては、勤務時間が社員の4分の3未満であっても、社会保険に加入させなければならない可能性があるので注意しましょう。

社会保険の加入手続きは早めに準備しましょう


入社する従業員が社会保険の加入要件を満たす場合、社会保険の加入手続きをするのは、会社の義務です。

もし、社会保険の加入手続きを怠った場合は、遡って社会保険料を徴収されたり、罰則を受ける可能性もあります。

入社時の社会保険手続きは、入社日から5日以内に行わなければなりません。

採用を決定した段階で、すぐに社会保険の加入要件を満たすかどうか判断し、必要であればすぐに手続きを進められるように準備をしておきましょう。


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まとめ

夜間の大学生アルバイトを採用する場合でも、原則として、社会保険に加入させる必要があります。

ただし、勤務時間が短く、かつ、一定の要件に該当する場合には社会保険の対象外になる可能性があります。

学生であることも、その要件の1つとされていますが、ここでいう学生とは、大学生や高校生のことをいい、夜間の大学生はこれに含まれません。

そのため、勤務時間が社員の4分の3未満の夜間大学生は、社会保険に加入させなければならない可能性があるので注意が必要です。

従業員の社会保険や労働保険の手続きについて、「わからないこと」や「相談してみたいこと」などありましたら、ぜひSATO社会保険労務士法人にご相談ください。

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