厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届の書き方・手続きを解説
被保険者が外国籍で、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない場合などには、会社は「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」の提出が必要です。
これから外国籍の方を積極的に採用しようと考えている事業所では、特に注意が必要な手続きの1つといえるでしょう。
そこで今回は、外国人雇用をしている事業主または担当者の方に向けて、「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」の書き方の注意点や、提出先などについてわかりやすく解説をしたいと思います。
”「最新の法改正」や「人事トレンド」など、人事・労務担当者必見の資料を無料で配布中!こちらからダウンロードできます”
厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届とは?
「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」とは、外国籍の方の年金記録を適切に管理するために、事業主が作成・提出する書類のことをいいます。
「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」の提出が必要になるのは、次の2つの届出を行う場合です。
- 厚生年金保険被保険者資格取得届
- 厚生年金保険被保険者氏名変更届
以前は、外国籍の方について、「アルファベット氏名届」は任意の手続きとなっていましたが、より正確な年金記録の管理を可能にするため、平成26年10月以降、外国籍の被保険者については、原則として「ローマ字氏名届」が必要とされました。
ただし、外国籍の方のマイナンバーと基礎年金番号が紐づいている場合には、すでに正確な年金記録の管理が可能な状態にあるため、ローマ字氏名届の提出は必要ありません。
つまり、ローマ字氏名届が必要となるのは、その外国籍の方が「マイナンバーを持っていない場合」や、「マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない場合」です。
現在、マイナンバーと基礎年金番号の紐づけ作業が随時行われていますが、日本に来て間もない外国籍の方の場合だと、まだ紐づけが行われていない可能性があるのです。
マイナンバーと基礎年金番号の紐づけができているかどうかについては、日本年金機構に問い合わせると確認することができます。
厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届の手続き方法
厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届の提出期限や提出先等は次の通りです。
必要書類 | 厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届 |
目的 | 外国籍の被保険者の正確な年金記録の管理 |
提出先 | 事業所を管轄する年金事務所 |
提出期限 | 厚生年金保険被保険者資格取得届・氏名氏名変更届と同時に行う |
添付書類 | 特に必要なし |
配偶者が外国籍の場合は「国民年金第3号被保険者ローマ字氏名届」を提出
厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届は、原則として、被保険者が外国籍の場合に必要となる届出です。
しかし、厚生年金の被保険者が日本人であっても、その配偶者が外国籍で、国民年金第3号被保険者になるときは「国民年金第3号被保険者ローマ字氏名届」の提出が必要になります。
手続きは、「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」とほぼ同じで、国民年金第3号被保険者関係届にあわせて、日本年金機構に提出をします。
国民年金第3号被保険者関係届のみを提出して、ローマ字氏名届を忘れるケースがあるので注意しましょう。
原則として電子申請は不可
「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」のみを電子申請することはできません。
そのため、提出方法が原則として窓口への持参か、郵送となります。
ただし、厚生年金保険被保険者資格取得届等を電子申請する場合には、添付書類として画像ファイルによる提出をすることが可能です。
氏名の確認は慎重に行いましょう
厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届を作成する際は、必ず在留カードや住民票の写し等に記載されている氏名を確認しましょう。
この手続きは、外国籍被保険者の正確な氏名を年金機構に知らせることで、年金記録の適切な管理を行うためのものです。
そのため、届出をする氏名は間違えないようにしなければなりません。
ただ、この届出を行ったあとも、年金機構から送付される通知書や健康保険被保険者等については、カナ氏名で表記されます。
マイナンバーを持っていない外国籍の方の採用は注意しましょう
「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」は、外国籍の方が、マイナンバーを持っていない場合や、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない場合に提出する書類です。
ただ、マイナンバーを持っていない外国籍の方は、日本で就労ができない可能性があるので注意が必要です。
外国籍の方にマイナンバーが付与されるのは、原則として、入国管理局から在留カードを交付された中長期在留者に限られます。
逆に言うと、マイナンバーを持っていない外国籍の方の場合、日本で就労が認められていない「短期滞在」の在留資格の可能性があるのです。
日本で就労が認められていない外国籍の方を雇用すると、事業主も出入国管理法違反によって処罰される可能性があります。
もしも、疑わしいと感じたときは、入国管理局などに問い合わせるようにしましょう。
外国人採用のことでお悩みの方はSATOグループにご相談ください
少子高齢化により日本人労働者が減少する中、外国人雇用を積極的に進める事業者様が増えています。
ただ、外国人労働者の雇用は、必要な手続きや注意点など、日本人雇用とは異なる点が多くあります。
もし、外国人雇用について、わからない点や気になる点などありましたら、ぜひSATOグループにご相談ください。
SATOグループでは、外国人雇用専門の行政書士や、経験豊富な社会保険労務士などが多く在籍しており、お客様の課題解決を全力でサポートいたします。
まとめ
被保険者が外国籍でマイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない場合などには、厚生年金被保険者資格取得届や氏名変更届を提出する際に、「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」を提出しなければなりません。
これは、正確な情報を年金機構に届け出ることで、外国籍被保険者の年金記録を適切に管理するためのものです。
ただ、外国籍の方がマイナンバーを持っていない場合には、不法就労に当たる可能性もありますので、疑わしい場合には、出入国管理局に問い合わせるようにしましょう。
もし、この手続きについて不明点などありましたら、SATO社会保険労務士法人まで気軽にご相談ください。