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労務関係

就業規則を作成・変更した場合の周知方法をわかりやすく解説

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会社が就業規則を作成・変更した場合、これを従業員に周知しなければなりません。

ただ、どんな方法でもよいというわけではなく、就業規則の周知方法は法令で定められています。

今回は、就業規則の周知方法について、わかりやすく解説をしたいと思います。

就業規則の周知方法は3つのいずれか


就業規則を周知する方法は、法令で次の3つのいずれかと定められています。

  • 常時各事業所の見やすい場所に掲示し、または備え付けること
  • 書面を労働者へ交付すること
  • PC等の機器にデジタルデータとして記録し、労働者がいつでも見れるようにすること

3つのうち1つを実施するだけでもかまいませんし、他と組み合わせて行うことも有効です。

ただし、これら3つ以外の方法によって、周知をしても、労働基準法上の周知として認められない可能性があるので注意が必要です。

上記3つの周知方法について、それぞれ具体的なケースなどをあげながら、どのような方法なのか解説したいと思います。

常時各事業所の見やすい場所に掲示し、または備え付けること

この周知方法のポイントは、次の2つです。

  • 全ての従業員が出入りすることのできる場所であること
  • 従業員が見たいと思ったときに見ることのできる状況であること

就業規則を掲示または備え付ける場所は、すべての従業員が自由に出入りできる場所でなければなりません。

例えば、食堂や休憩室などに設置するケースが一般的です。

ただ、食堂についても、社員しか利用が認められないような場合はNGです。

自由に出入りできる従業員には、パートやアルバイトなど名称を問わず、その事業所で働くすべての労働者が含まれるからです。

また、従業員が見たいと思ったときに見られないと周知にはあたりません。

例えば、休憩室においてある施錠されたロッカーの中に就業規則があり、管理者の許可がないと閲覧できないような状況にある場合は周知として認められません。

たまに、定款や登記簿などの重要書類と一緒に、就業規則を金庫などに入れて厳重に管理をしているケースがありますが、これは従業員に周知されているとはいえない可能性があるので注意しましょう。

書面を労働者へ交付すること

就業規則をコピーして、全従業員に対して渡すことです。

このとき、交付の対象は、正社員だけでなく、パート・アルバイト等その事業所で働くすべての従業員が含まれます。

一部の従業員にしか交付していないような場合は、周知として認められないので注意しましょう。

ただ、この方法によると、従業員が就業規則を社外へ持ち出す可能性があるため、制限したいという会社もあると思います。

周知義務は、従業員が就業規則を見たいときに見えるようにすることで足ります。

そのため、従業員による就業規則の持ち出しを制限・禁止しても問題はありません。

それぞれの会社でルールを設定するとよいでしょう。

PC等の機器にデジタルデータとして記録し、労働者がいつでも見れるようにすること

社内WEBサイト(イントラネット掲示板や社内サーバー)などに就業規則を設置する方法も有効です。

この方法は、会社側の管理が楽になるというメリットがある反面、サーバーの準備やセキュリティ対策など、ある程度の費用がかかるというデメリットもあります。

また、この方法によるときは、従業員全員がアクセスできる状況にしておく必要があります。

例えば、一部の管理職しかアクセスできないようなページに就業規則を設置していても、それは周知したことにはなりません。

ただ、従業員が就業規則をダウンロードできるようにすることまでは必要ありません。

周知義務は、労働者が就業規則を見たいと思ったときに見えるようにすることで足りるからです。


就業規則の周知がされていないとどうなる?


これまで、就業規則の周知方法について解説をしました。

では、これらの周知を怠った場合、どうなってしまうのでしょうか。

周知義務違反には罰則の可能性

就業規則の周知義務は、労働基準法という法律で定められた義務です。

そのため、会社が周知義務を怠ると、法律違反となります。

会社の周知義務違反が発覚した場合、通常は、まず労働基準監督署による行政指導や是正命令が下されます。

そして、指導や是正命令を無視した場合など、違反が悪質と判断された場合には、30万円以下の罰金が科せられることもあります。

これは、就業規則の周知を全く行っていない場合だけでなく、周知の方法が不完全である場合も同じです。

就業規則が無効になる可能性

就業規則は、従業員に周知をしてはじめて効力を生じます。

そのため、周知がされていない就業規則は、原則として無効です。

例えば、就業規則で従業員の転勤について基準やルールを設けていても、周知がないと、就業規則に基づいて転勤を命じることはできません。

むしろ、無効な命令によって、不当な損害を受けたとして、従業員から損害賠償を請求されるリスクもあります。

このように、就業規則の周知をしないと、従業員とのトラブルにつながる可能性があるので注意しましょう。


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まとめ

就業規則の周知方法は次の3つのいずれかです。

  • 常時各事業所の見やすい場所に掲示し、または備え付けること
  • 書面を労働者へ交付すること
  • PC等の機器にデジタルデータとして記録し、労働者がいつでも見れるようにすること

1つだけでも構いませんし、他と組み合わせて周知することも可能です。

ざっくりいうと、「従業員が見たいときに見えるような状況にしておくこと」が就業規則の周知です。

就業規則の周知を怠ると、労働基準法違反として罰則が科せられたり、就業規則が無効となり労使のトラブルにつながる可能性があります。

就業規則を作成、改正した場合には、必ず忘れずに従業員への周知を行うようにしましょう。

就業規則の作成・変更についてのご質問やご相談なら、是非SATO社会保険労務士法人までお問合せ下さい。

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