• ホーム
  • 労働者死傷病報告とは?書き方のポイントをわかりやすく解説
労務関係

労働者死傷病報告とは?書き方のポイントをわかりやすく解説

アイキャッチ画像
目次

従業員が仕事中のケガや病気により、死亡や休業することになったとき、会社は「労働者死傷病報告」という書類を労基署に提出する必要があります。

労災事故はそれほど起きるものではないので、人事経験の少ない方にとっては、あまり馴染みのない手続きかと思います。

ですが、労災事故は突然発生するものです。

そのとき、この手続きを怠ると会社に対する罰則もあるため、担当者としては書類の書き方や手続きの流れなどをきちんと把握しておく必要があります。

そこで今回は、労働者死傷病報告の書き方のポイントや、手続きの流れなどについて、わかりやすく解説したいと思います。

「最新の法改正」や「人事トレンド」など、人事・労務担当者必見の資料を配布中!
→こちらから無料でダウンロードできます

労働者死傷病報告とは?


従業員が、就業中の傷病により死亡または休業した場合、会社は管轄の労働基準監督署に、労災事故の状況や原因などを報告しなければなりません。

この報告をするために会社が作成し、提出するのが「労働者死傷病報告」です。

この書類は、厚生労働省のHPからダウンロードして手に入れることができます。

労働者死傷病報告は大きく2種類の書類があり、休業4日以上の傷病が発生した場合は「労働者死傷病報告(様式第23号)」を遅滞なく提出し、休業4日未満の場合は(労働者死傷病報告(様式第24号))を四半期ごとにまとめて提出します。

この届出についてよくある失敗に、「報告が必要だとは思わず手続きをしなかった」というケースがあります。

そこで、労働者死傷病報告がどんな場合に必要になるか、具体的に解説をします。

労働者死傷病報告が必要になるケース

労働者死傷病報告は、労働災害等によって労働者が死亡または休業した場合に必要となります。

具体的には次のようなケースです。

  • 労働者が労働災害によって負傷、窒息または急性中毒により死亡または休業したとき
  • 労働者が就業中に負傷、窒息または急性中毒により死亡または休業したとき
  • 労働者が就業中ではないが、事業場内・敷地内・事業場に付属する建築物内で発生した負傷等により死亡または休業したとき

ポイントは、会社の事業場内や敷地内で労働者が負傷した場合には、それが就業中ではなくても労働者死傷病報告が必要になるということです。

そのため、業務が終わった後、従業員が帰宅途中に、会社の敷地内で事故を起こしたような場合も、報告が必要になる可能性があるので注意しましょう。

労働者死傷病報告の手続き内容

労働者死傷病報告の基本的な手続き内容は次の通りです。

必要書類休業4日以上の場合は「労働者私傷病報告(様式第23号)」
休業4日未満の場合は「労働者死傷病報告(様式第24号)」
目的労災事故の状況や発生原因などを労基署に報告する
提出先事業所を管轄する労働基準監督署
提出期限休業4日以上の傷病の場合は遅滞なく提出
休業4日未満の傷病の場合は1月から3月まで、4月から6月まで、7月から9月まで、10月から12月までの4機関における労災事故の報告を、それぞれの期間の最後の月の翌月末日までに提出
添付書類特に必要なし

提出先は、原則として事業場(会社)を管轄する労働基準監督署ですが、建設現場など、会社と事故現場が異なる場合には、事故が発生した場所を管轄する労働基準監督署に提出します。

休業がない場合は不要

労働者死傷病報告は、業務災害等によって従業員が死亡または休業した場合にのみ必要となります。

そのため、軽傷等で休業が発生しなかった場合、労働者死傷病報告を提出する必要はありません。

労働ができる状態であったにもかかわらず、従業員が有給休暇を取得した場合は、業務災害等による休業とはいえませんので、労働者死傷病報告は不要です。

もっとも、最初は軽傷と判断しても、あとから骨折や後遺症などが判明するケースもあるので注意しましょう。

負傷の経過により、4日以上の休業が必要となった場合は、労働者死傷病報告(23号)をすぐに提出しなければなりません。

労災隠しは絶対にやめましょう


労働災害が発生した場合には、労働者死傷病報告を作成し労災事故の原因や状況などを正直に報告しましょう。

建設事業や運送業など一部の事業者では、無災害にこだわるあまり、嘘の報告をしたり、報告をしなかったりなど、いわゆる「労災隠し」をするケースがあります。

しかし、労働者死傷病報告の未提出や虚偽報告をすると、50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

また、労働者死傷病報告の未提出や虚偽報告で書類送検されると、会社名が厚労省のHP等で公表され、会社の信用に大きく傷をつける結果となります。

労災隠しへのペナルティは非常に重いので、絶対にやめましょう。


社労士(社会保険労務士)に相談できることをわかりやすく解説|SATO社会保険労務士法人

経営者や人事・労務の担当者であれば、社労士という名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。 ただ、中には「そもそも社労士に何が依頼できるのかわからない」という方も多いかと思います。 そこで今回は、社労士に相談できる業務内容や、必要になる費用、相談するタイミングについて、わかりやすく解説をしたいと思います。

sato-magazine.com

og_img


まとめ

就業中や会社の敷地内で負ったケガ等が原因で、労働者が死亡または休業した場合、会社は「労働者死傷病報告」を管轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。

提出期限は、労働者の休業が4日以上か4日未満かによって異なります。

業務災害が起きたにもかかわらず、労働者死傷病報告を提出しなかったり、虚偽の報告をした場合、50万円以下の罰金や社名公表などのペナルティを受ける可能性があります。

業務災害が起きた際は、必ず正直に報告するようにしましょう。

労災保険の手続きや届出について、「もっと詳しく知りたい」「気になることがあるので聞いてみたい」という方は、ぜひSATO社会保険労務士法人にご相談ください。

専門のスタッフが分かりやすく丁寧に解説させて頂きます。

お気軽にお問い合わせください。