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従業員が育休から仕事に復帰する際の手続きをわかりやすく解説

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育休(育児休業)から復帰した従業員にとって、仕事と育児を両立することは容易ではありません。

「仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業」によると、妊娠・出産を機に退職した女性社員の41.5%の人が “仕事と育児の両立の難しさで辞めた”と答えています。

男女ともに仕事と育児を両立できる、会社の環境整備も人事担当者の大切な仕事の一つです。

また、そうした環境が整うことで育休取得率・復職率も高まり、企業イメージの向上にもつながります。

今回は、従業員が育休から復帰する際、人事担当者としてどのように手続きを行い、サポートをすればよいかについて、解説していきたいと思います。

育休復帰時に人事担当者が行うべきこと


育休中の従業員から復帰を希望する連絡が来たら、以下の流れで手続きを進めましょう。

復帰前に従業員と面談をしましょう

育休復帰の1か月〜2か月前に従業員と面談をして、就労条件や担当業務について話し合いましょう。

この時は、口頭で確認するだけではなく、育児休業復職前面談シート(任意書式)や会社所定の書式で、復帰日・勤務時間の希望、周囲に配慮してほしいこと等を確認しておくとよいでしょう。

【面談時に話し合うべきこと】

  • 働き方(勤務時間)について・・・フルタイム/短時間勤務/所定外労働の制限
  • 部署について・・・原則として育児休業前と同じ部署に復職

面談内容の社内通知

面談で決まった内容(復帰日・働き方)を、復帰先の部署等に周知します。

また、従業員本人が周囲に配慮してほしいことがある場合には、その内容も周知し、安心して復帰できる環境を整えておきましょう。

復帰後の主な届出業務


最後の「育児休業給付金支給申請書」の届出

従業員の復帰後、最後の育児休業給付金の支給申請を行います。

支給申請期間中に復職した場合でも、復職日の前日まで育児休業給付金が支給されます。

  • 添付書類:復職日が確認できる出勤簿または復職証明
  • 届出先:ハローワークへ提出

「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書終了届」

実際の育児休業期間が、育休取得時の予定日より前に終了した場合、この届出が必要となります。

  • 添付書類:年金事務所への添付書類は特になし。自社健保へ提出する場合は、復職日が分かる出勤簿等の添付が必要なケースもあり。(自社健保の場合は添付書類について一度確認してみましょう。)
  • 届出先:年金事務所または事務センターへ提出

復帰後の従業員が希望する場合は「育児休業等終了時報酬月額変更届」

育児休業から復帰した従業員は、短時間勤務や所定外労働の免除等で、休業前と比べて報酬が減るのが一般的です。

しかし復帰後も、育児休業前の報酬に応じた標準報酬月額で社会保険料を支払わなくてはいけないため、手取りが減ってしまいます。

そこで、本届出を行うことで、育児休業等終了日の翌日が含まれる月以後の3か月間に受けた報酬の平均額に基づき、4か月目の標準報酬月額から改定することができます。

そのため、「育児休業等終了時報酬月額変更届」の届出時期については、仕事に復帰した月から4か月目となりますので注意しましょう。

  • 添付書類:特になし
  • 届出先:年金事務所または事務センターへ提出

復帰後の従業員が希望する場合は「養育期間標準報酬月額特例申出書」

上述のとおり、「育児休業等終了時報酬月額変更届」の届出を行うことで健康保険・厚生年金の保険料は下がりますが、同時に将来受け取る年金額も下がってしまいます。

そこで、復帰後の従業員が希望する場合は、「養育期間標準報酬月額特例申出書」の届出を行うことで、育児休業前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができます。

この手続きは、「育児休業等終了時報酬月額変更届」の届出と同時に行います。

  • 添付書類:①戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書、②住民票の写し(申出者と子が同居していることを確認できるもの)③マイナンバーカード

「育児休業等終了時報酬月額変更届」と「養育期間標準報酬月額特例申出書」のデメリット

「育児休業等終了時報酬月額変更届」と「養育期間標準報酬月額特例申出書」の2つの届出を行うことで、保険料を下げるとともに、将来受け取る年金額を維持することが可能です。

しかし、これらの手続きにはデメリットもありますので押さえておきましょう。

「養育期間標準報酬月額特例」は、厚生年金保険料のみに対応した制度です。

そのため、健康保険の傷病手当金や出産手当金は、健康保険の標準報酬月額をもとに金額が算出されるため、保険料が安くなっても健康保険の給付額が少なくなる点がデメリットとなります。

この2つの届出に関しては従業員が希望する場合のみ届出を行います。

従業員へ説明する際には、このデメリットもしっかり説明してあげましょう。

復帰後のアフターケア

復帰から1か月〜2か月後くらいに、復職面談を実施するのも効果的です。

実際に復帰してみてからの働き方や、職場に配慮してほしいこと等について確認しましょう。

復帰後のアフターケアをしっかりと行うことで、仕事と育児の両立による離職を防止することにつながります。

育休が取得しやすい・育休復帰しやすい会社の環境整備


 「令和2年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」によると、男女ともに2割の人が“会社で育児休業制度が整備されていなかったから育児休業制度を利用しなかった”と回答しています。

せっかくの人材が、会社制度の不整備により退職してしまうのは、とてももったいないことです。

また、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気」「職場の育児休業取得への理解がない」などという理由も同様です。

男女問わず、育児休業を取得する機会を逃すことのないよう、育児休業を申出しやすい職場環境を整備しましょう。

しかし、環境整備といわれても何から始めればよいか悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。

育児・介護休業法の改正に伴い、令和2年4月より「育児休業を取得しやすい雇用環境整備 及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け」が施行されています。

この法令に関連した資料や動画を、厚生労働省が用意しています。(厚生労働省「育児・介護休業法について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

自社用に編集することも可能ですので、活用して育児休業取得に対する職場の意識付けを行いましょう。

育休取得や復帰に対するハラスメント

育休は、女性だけが取得するものではなく男性も取得する時代です。

育児・介護休業法の改正に伴い、産後パパ育休(出生時育児休業)や育児休業等の分割取得が可能となったことで、今後はより一層男性の育休取得の増加が見込まれます。

「男のくせに育休?」「残業できない人はいいよね」等の発言はハラスメントにあたります。

また、言葉によるものだけではなく、“必要な仕事上の情報を与えない”“これまで参加していた会議に参加させない”等の行為もハラスメントです。

ハラスメント環境がある会社には、育児休業から復帰したくないと思って当然です。

ハラスメントに関する意識啓発の研修の実施、業務体制の整備、就業規則にハラスメントに関する規定を明記する等、ハラスメントが起きないような対策を講じ、ハラスメントのない会社を目指しましょう。

まとめ

育児休業を取得した従業員が職場に復帰するために、人事担当者として準備すべきことはたくさんあります。

復帰する従業員との書類のやり取りや行政への届出業務はもちろん、復帰後も仕事と育児を両立できるよう、サポートすることも人事担当者として大切な仕事の一つです。

そしてサポートすると同時に、会社として仕事と育児を両立しやすくする環境づくりは欠かせません。

育休復帰後の従業員が、柔軟な働き方を選択できるような環境整備を進んでおこなっていきましょう。


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