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2か所以上で勤務する「二以上事業所勤務者」の社会保険手続きを解説します

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目次

政府の働き方改革や、コロナ禍の影響等により、副業や兼業など2か所以上で勤務をする従業員が増えています。

会社側としては、この従業員が社会保険の「二以上事業所勤務者」に該当するか、注意が必要です。

特に近年は、法改正により社会保険の適用拡大が進み、「二以上事業所勤務者」に該当する労働者が増加しています。

そこで今回は、「二以上事業所勤務者」について、会社の担当者が知っておくべき基本知識や、手続き、注意点等について解説をします。

そもそも「二以上事業所勤務者」とは?


一般的に、社会保険といえば1つの事業所で適用を受けている(加入している)ケースがほとんどです。

しかし、2つ以上の事業所に勤務している労働者が、それぞれ社会保険の加入要件を満たす場合、2つ以上の会社で健康保険・厚生年金保険に加入する必要があります。

これを「二以上事業所勤務者」または、「二以上勤務被保険者」などと言います。

以前はグループ会社の役員が対象になるケースが多かったのですが、平成28年10月の短時間労働者に対する健康保険、厚生年金保険の適用拡大により、一般の従業員(特にパートアルバイトの方)でも二以上勤務被保険者となるケースが増えてきました。

また、令和4年10月の法改正により、さらに社会保険の適用が拡大されたため、これまで以上に二以上勤務被保険者となるケースが増えることとなります。

社会保険の適用拡大と二以上勤務被保険者の増加

社会保険の適用拡大が、どのように影響するのか、もう少し具体的に解説をします。

①一般的な社会保険加入要件

  • 社会保険適用事業所にて常時雇用されている従業員
  • 1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が常時雇用されている従業員(正社員)の3/4以上の方

②平成28年10月の短時間労働者に対する適用拡大

①に加え、加入要件に1週の所定労働時間が20時間以上あることが追加され、他にもいくつか要件はありますが、社会保険に加入しなければならない人が増えることとなりました。

ただ、この時点で上記対象となるのは、一般被保険者数500人超の事業所のみが適用拡大の対象でした。(適用拡大の対象となる事業所を特定適用事業所といいます。)

③令和4年10月の社会保険の適用拡大

特定適用事業所の要件が、②の500名超から、100名超へと引き下げられました。

これにより、例えば200名の会社にて週20時間で働いていた方はこれまで社会保険の加入義務はありませんでしたが(雇用保険のみ加入)、このままの雇用契約だと社会保険へも加入する必要が出てきます。(所定労働時間の他にも要件はあるので注意が必要です)

このような社会保険の適用拡大により、これまで家族の扶養として社会保険に入っていた方も、場合によってはご自身の会社で加入する必要が出てくる可能性があります。

二以上勤務被保険者の具体的なケース

短時間労働者の加入要件や特定事業所の適用拡大について触れましたが、例えば以下のような働き方のケースで考えてみます。

A事業所(1000名事業所)…週20時間勤務

B事業所(200名事業所)…週20時間勤務

この場合、2022年10月までは、A事業所のみ社会保険の加入義務がありました。

しかし、2022年10月以降は社会保険適用拡大により、B事業所でも加入要件を満たすこととなります。

この場合、どちらか一方のみに加入するのではなく、冒頭に触れた通り、2つの会社で健康保険、厚生年金保険に加入することとなります。

二以上勤務被保険者に該当する場合の手続き


具体的な手続きの流れとしては、社会保険の取得手続きは会社にて行うものですが、併せてどちらの会社を主たる事業所とするかは労働者本人がが選択し、その加入している健康保険組合、または年金機構に「二以上事業所勤務届」を提出します。

2つの事業所で社会保険加入することになりますが、どちらを主とするかは選択する必要があるためです。

二以上勤務被保険者の制度を従業員にしっかり説明しておきましょう

二以上勤務被保険者となると、主たる会社の健康保険組合、年金機構より通知書が発行され2つの事業所で按分した保険料を支払う必要があります。

ただ、二以上事業所勤務届は従業員自身が提出する制度であるため、会社側で従業員が他の会社で働いていることを把握しておらず、突然、行政機関から通知書が届くといったケースも少なくありません。

また、そもそも勤務届の提出が必要なことや、保険料がそれぞれの事業所で発生することを従業員本人が知らないケースもあります。

こういったことを防ぐためには、会社としては特に短時間労働者の場合は社会保険の制度(2つの事業所で社保加入となり得ること)をきちんと従業員に説明する必要があります。

まとめ

2つ以上の事業所に勤務している労働者が、それぞれの事業所で社会保険の加入要件を満たす場合、2つ以上の事業所で社会保険に加入する必要があります。

これを、二以上勤務被保険者といいます。

パート・アルバイトの方のWワークの他にも、例えばコロナ禍による休業中や、働き方の多様性により副業を認める場合などにも二以上勤務被保険者となる可能性があります。

会社、従業員ともに適切に社会保険の加入が行えるよう制度を正しく理解する必要があるため、今後の法律改正情報の確認など、事前の準備を行うようにしましょう。

ちなみに、社会保険の適用拡大は、2024年10月にも予定されています。

そのときは、被保険者50人超の事業所が社会保険の加入対象となるため、該当する事業所は注意が必要です。


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