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【2023年度最新】厚生労働省が10月からの全国最低賃金(時給)を発表

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目次

最低賃金は、多くの国で労働者の生活水準を維持し、社会的公正を促進するために設けられた重要な制度です。

労働者の生活の安定と労働力の質的向上などを確保しながら、国民経済の健全な発展にも寄与するため、経済の駆動力とも言える役割を果たしています。

この記事では、最低賃金の基本について詳しく説明し、2023年10月1日からの最新の全国最低賃金についても紹介します。

雇用主や人事担当者は、最低賃金について正しく理解しておきましょう。

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最低賃金とは?


最低賃金とは、最低賃金法に基づいて国が賃金の最低限度を定め、使用者(企業など、労働者を使用し、労働の対価として賃金を支払う者)は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

最低賃金の種類

最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類が存在します。

それぞれの最低賃金について、詳しく解説していきます。

①地域別最低賃金

地域別最低賃金は、産業や職種に関係なく、その都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用される最低賃金として、都道府県ごとに定められています。

正規雇用や非正規雇用などの雇用形態、国籍、年齢に関わらず、すべての労働者に適用されます。

②特定最低賃金

特定最低賃金は、特定の産業において設定されている最低賃金のことです。

関係労使が、基幹的労働者(当該産業に特有または主要な業務に従事する労働者のこと)を対象として、地域別最低賃金よりも高い金額水準の最低賃金を設定する必要があると認める産業について設定されます。

他の産業よりも高い賃金水準が設定されることで、その産業における賃金相場が確立され、産業の魅力はもちろん、企業の魅力も高めることができ、労働市場での公正な競争を促進します。

なお、地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が同時に適用される場合、使用者は両方の最低賃金のうち高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとされています。

2023年10月からの最低賃金

地域別最低賃金は、国の中央最低賃金審議会で審議して示される“引上げ額の目安”を参考にしながら、都道府県ごとに設置されている最低賃金審議会による審議を経て、都道府県の労働局長が毎年7月末ごろに決定を行い、毎年10月に改定されます。

今年(2023年)10月から適用される、地域別最低賃金の金額及び発効年月日は、以下のとおりです。

都道府県改定額(答申)引き上げ額発行予定年月日
北海道960円40円2023年10月1日
青森県898円45円2023年10月7日
岩手県893円39円2023年10月4日
宮城県923円40円2023年10月1日
秋田県897円44円2023年10月1日
山形県900円46円2023年10月14日
福島県900円42円2023年10月1日
茨城県953円42円2023年10月1日
栃木県954円41円2023年10月1日
群馬県935円40円2023年10月5日
埼玉県1,028円41円2023年10月1日
千葉県1,026円42円2023年10月1日
東京都1,113円41円2023年10月1日
神奈川県1,112円41円2023年10月1日
新潟県931円41円2023年10月1日
山梨県938円40円2023年10月1日
長野県948円40円2023年10月1日
富山県948円40円2023年10月1日
石川県933円42円2023年10月4日
福井県931円43円2023年10月1日
岐阜県950円40円2023年10月1日
静岡県984円40円2023年10月1日
愛知県1,027円41円2023年10月1日
三重県973円40円2023年10月1日
滋賀県967円40円2023年10月1日
京都府1,008円40円2023年10月6日
大阪府1,064円41円2023年10月1日
兵庫県1,001円41円2023年10月1日
奈良県936円40円2023年10月1日
和歌山県929円40円2023年10月1日
鳥取県900円46円2023年10月5日
島根県904円47円2023年10月6日
岡山県932円40円2023年10月1日
広島県970円40円2023年10月1日
山口県928円40円2023年10月1日
徳島県896円41円2023年10月1日
香川県918円40円2023年10月1日
愛媛県897円44円2023年10月6日
高知県897円44円2023年10月8日
福岡県941円41円2023年10月6日
佐賀県900円47円2023年10月14日
長崎県898円45円2023年10月13日
熊本県898円45円2023年10月8日
大分県899円45円2023年10月6日
宮崎県897円44円2023年10月6日
鹿児島県897円44円2023年10月6日
沖縄県896円43円2023年10月8日


今回の改正ポイント

2023年の最低賃金改定では、47都道府県で賃金が39円〜47円引き上げられ、全国平均で前年度の時給961円から1,004円と過去最大の上げ幅となり、初めて1,000円台に到達しました。

最高額1,113円(東京都)に対する最低額893円(岩手県)の比率は80.2%で、前年度の79.6%からわずかに改善され、9年連続の改善となっています。

国の中央最低賃金審議会では、物価や賃金の上昇率などを考慮に入れ、毎年、引上げ額の目安を決定しています。

このように決まった最低賃金は、労働者の待遇向上に貢献しますが、一方で中小企業など、すでに人手不足や原材料高騰に悩む企業には課題を提起しています。


また、扶養控除内で働くことを希望する労働者や、扶養控除内で働く労働者を多く雇用する企業にとっても、最低賃金の引き上げは検討すべき重要な課題です。

最低賃金の増加に伴い、年収を103万円以下に抑えるためには、労働時間の短縮などの対策が必要です。

そのため、人手不足を加速させる可能性も心配されています。


こうした問題を解決するために政府は、中小企業や小規模事業者が各種助成金や補助金を受給し、賃上げを実現できるように支援強化に取り組んでいます。

中小企業や小規模事業者の皆様には、このような助成金や補助金を上手に活用し、賃金の増額に貢献できる機会を活かしていただきたいと考えています。



最低賃金を下回る賃金を支払うことは違法です


たとえ、使用者と労働者双方の合意の上で、最低賃金額より低い賃金で契約が成立しても、法律によりその契約は無効とされ、最低賃金額と同額の賃金が支払われるものとみなされます。

さらに、最低賃金法に違反し、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合、その差額を補う支払いが求められます。地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合、50万円以下の罰金が科され、特定最低賃金額以上の賃金を支払わない場合には、30万円以下の罰金が科されます。

最低賃金の遵守は法的義務であり、労働者の権利を保護するために重要です。

企業は最低賃金法に準拠し、社会的公正と労働市場の安定に貢献する役割を果たさなくてはなりません。

自社の給与規定を確認しましょう

最低賃金が改定された際、雇用主や人事担当者がまず確認すべきことは、自社の給与規定です。

設定賃金が最低賃金ギリギリの場合、自社の賃金が最低賃金を下回っていないか確認しましょう。

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる「基本給」「諸手当」です。

ただし、「諸手当」のうち、「精勤・皆勤手当」「通勤手当」「家族手当」は最低賃金の対象外です。

具体的には、実際に支払われる賃金から、以下の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

もし自社の賃金を確認し、最低賃金を下回っていた場合は、社会保険労務士などと相談しながら、給与規定の見直しや改定をおこなうようにしましょう。

最低賃金額以上かどうかを確認する方法

最低賃金額は、時給単価で設定されています。自社で支払っている賃金が、最低賃金額以上かどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較しましょう。

給与形態計算方法
時給制時間給≧最低賃金額(時間額)
日給制①日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
日給制②日給≧最低賃金額(日額)
日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合
月給制月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
出来高払制
その他請負制
賃金の総額を、当該賃金算定期間において労働した総労働時間数で除して
時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較
上記の組み合わせそれぞれの式により時間額に換算し、それらを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較

自社の給与形態が“出来高制だから関係ない”などと勘違いしないよう、人事担当者は従業員に支払っている賃金について、正しく理解しておくことが大切です。

また、厚生労働省のHPには、最低賃金に関するセルフチェックシートも掲載されています。ぜひご参照ください。

参照:厚生労働省HP 最低賃金に関するセルフチェックシート 000735769.xlsx (live.com)


 最低賃金の減額の特例

基本的に、最低賃金を下回る賃金を支払うことは違法です。

しかし、以下の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることで、最低賃金の減額の特例が認められています。

  1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
  2. 試の使用期間中の方
  3. 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
  4. 軽易な業務に従事する方
  5. 断続的労働に従事する方

減額特例の許可を受けようとする使用者は、それぞれの所定様式による申請書 2通を作成し、所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出する必要があります。

参照:厚生労働省HP 最低賃金の減額の特例許可申請書様式・記入要領
最低賃金の減額の特例許可申請書様式・記入要領|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

まとめ

最低賃金は、労働者の生活水準を維持し、社会的公正を促進するために極めて重要な制度です。

2023年10月に引き上げが予定されており、この変更に関して様々な意見が存在します。

物価の上昇を考慮する声もあれば、中小企業や小規模事業者にとっては経営への負担となる懸念もあります。


中小企業や小規模事業者は、助成金や補助金を有効活用し、賃金の増額に取り組む機会を利用すべきです。

一方で、企業の人事担当者は、自社の給与規定を再確認し、最低賃金の引き上げに適切に対応する必要があります。

最低賃金について正確な理解を持ち、労働者の待遇向上と企業の繁栄に貢献しましょう。

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