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2023年4月法改正、リスクアセスメント対象物のばく露低減措置が義務化

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目次

化学物質等による労働災害の増加をうけ、2022年5月に労働安全衛生規則等が改正され、2023年4月1日と2024年4月1日に段階的に施行されます。

今回の改正内容は化学物質管理体系の見直しや、情報伝達の強化など多岐にわたるため、関連する事業者としては早めに社内ルールの整備やマニュアルの作成などの対応が必要です。

今回は、リスクアセスメント対象物のばく露低減措置を中心に解説をしたいと思います。

リスクアセスメント対象物にばく露される程度の低減措置が義務化へ


2022年5月、労働安全衛生規則等が改正されたことで、2023年4月から、リスクアセスメント対象物を製造、又は取り扱う事業場では、労働者がばく露される程度を最小限にするための低減措置をとることが、法令によって義務付けられます。

この改正は、リスクアセスメントの結果に基づいて、事業者が適切な対応をとることで、労働者の健康障害を防止することが目的です。

具体的に事業者は、以下の方法等によって、労働者のばく露の程度を最小限度にすることが2023年4月から義務化されます。

  1. 代替物等を使用する
  2. 発散弦を密閉する設備、局所排気装置または全体換気装置を設置して稼働する
  3. 作業の方法を改善する
  4. 有効な呼吸用保護具を使用する

なお、2024年4月には、リスクアセスメント対象物のうち、一定の物については、ばく露の程度を厚生労働大臣が定める濃度の基準以下にすることが、法令によって義務付けられます。

そもそもリスクアセスメント対象物とは?

今回の改正で、ばく露の低減措置が義務付けられるのは、リスクアセスメント対象物を製造し、または取り扱う事業場が対象となります。

そもそも、リスクアセスメント対象物とは、「法令等によってリスクアセスメントが義務付けられている物質」のことをいいます。

そして、リスクアセスメントとは、作業における化学物質等の危険性または有害性を特定し、それによる労働災害や健康障害の危険を見積もり、リスクの低減対策を検討、さらにその結果を記録するという一連の手法のことをいいます。

簡単に言うと、一連の手順によって労働者のリスクを低減をすることが、法令によって義務付けられている化学物質等のことを「リスクアセスメント対象物」といいます。

ちなみに、2022年12月時点で、リスクアセスメントが法令によって義務付けられている対象物質は674物質、努力義務の対象とされているのは数万物質にのぼります。

ただ、リスクアセスメント対象物質の分類基準についても、法改正によって仕組みが変更され、2024年4月以降はさらに対象が拡大することになっています。

リスクアセスメント対象物以外はどうなる?

今回の法改正で、労働者のばく露の程度を最小限にすることが義務化されたのは「リスクアセスメント対象物」です。

ただ、「リスクアセスメント対象物」以外の化学物質についても、当該化学物質を製造または取り扱う事業場では、労働者の健康障害を防止するためにばく露される程度を最小限に抑える努力義務が課せられます。

努力義務とは、義務違反があったとしても、法的な罰則等が科せられない義務のことをいいます。

ただし場合によっては、行政指導などのペナルティを受ける可能性があるので注意しましょう。

ばく露低減措置の内容等について意見聴取

2023年4月以降、事業者はリスクアセスメント対象物に係るばく露の程度が最小限度になるよう低減措置をとらなければなりません。

そして、かかる措置をとった事業者については、そのばく露低減措置等について、関係労働者の意見を聴く機会を設ける必要があります。

これは、低減措置が重要なものであることを考慮し、低減措置の内容等について労働者に確認させ、それが適切なものであったかどうか、労働者に意見を陳述させる機会を設けることが目的です。

ただ、必要なのは関係労働者の意見の聴取なので、同意を得ることまでは必要ありません。

この意見聴取について、関係労働者やその代表者が衛生委員会に参加している場合は、審議等と兼ねて聴取することも認められています。

記録の作成と保存


また、リスクアセスメント対象物のばく露低減措置を講じた事業者は、その措置の状況や、ばく露状況、労働者の氏名・作業の概要・作業期間等について、記録を作成しなければなりません。

これは、事業場における低減措置などの実施状況について、事後に検証することを可能にするためです。

この記録は、1年を超えない期間ごとに1回作成し、3年間は保存することが義務付けられます。

ただし、記録の対象ががん原性物質にかかる場合、保存期間は30年間となります。

これは、一般的にがんが他の病気等よりも遅く症状が出るため、労働者の退職後も検証することができるよう、保存期間が延長されているのです。

記録を作成した場合、事業者はこの内容を労働者に周知しなければなりません。


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2022年4月に改正労働安全衛生規則等が施行され、一定の事業者に対しては、リスクアセスメント対象物のばく露の低減措置が義務付けられます。

併せて、当該措置に関して、労働者の意見聴取や記録の保存、労働者への周知等についても併せてルールが設けられました。

対象となる事業所では、社内ルールの整備や、マニュアルの作成、従業員への周知など早めの対応が必要になります。

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