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兼務役員雇用実態証明書とは?提出していない場合はどうなる?

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目次

会社の役員は原則として雇用保険に加入することはできません。

ですが、その役員が兼務役員に該当する場合は、例外的に加入することが可能です。

この場合、会社は「兼務役員雇用実態証明書」という書類を作成し、ハローワークに提出しなければなりません。

しかし、あまり発生する手続きではないので、よくわからないという方も多いと思います。

そこで今回は、兼務役員雇用実態証明書の手続き内容や提出をしていないとどうなるか、等について解説したいと思います。

兼務役員雇用実態証明書とは


兼務役員雇用実態証明書とは、兼務役員が雇用保険に加入する場合、その労働者的性格を証明するためにハローワークに提出する書類のことをいいます。

会社の役員は原則として雇用保険に加入することはできません。

ですが、その役員が会社と雇用契約を締結し、かつ、労働者的性格が強いと判断された場合は、兼務役員として雇用保険に加入することが可能です。

この場合、会社はその役員が兼務役員であることをハローワークに証明する必要があります。

このとき、ハローワークに提出する書類が「兼務役員雇用実態証明書」です。

そもそも兼務役員とは

兼務役員とは、従業員としての地位を有している役員のことをいいます。

法令上、取締役や監査役、会計参与などの役員と、従業員とは分けて規定されています。

しかし、会社によっては、取締役が会社の総務部長や、工場長、支店長などを兼ねているケースがあります。

このように会社の役員でありながら、同時に従業員としての地位も有している人のことを、兼務役員といいます。

兼務役員が雇用保険に加入できるかどうかのポイント

会社の役員は、使用者であって労働者にあたらないため、原則として雇用保険に加入することはできません。

しかし兼務役員については、会社との雇用関係が認められ、「労働者的性格が認められる場合には、例外的に雇用保険に加入することができます。

労働者的性格については、その役員の就労の実態を総合的に見て判断をしますが、主なポイントは次の4つです。

代表権を持っていないこと

代表権を持っている場合、基本的にその役員の労働者的性格は否定されます。

代表権とは、会社を代表して取引や業務をする法律上の権利のことをいいます。

会社を代表して取引や業務をする者は、使用者であって労働者ではありません。

そのため、代表権を持つ代表取締役等は、兼務役員に該当しません。

就業規則が適用されていること

兼務役員というためには、他の従業員と同じように就業規則が適用されていることが必要です。

基本的に就業規則は労働者を対象としたものであり、使用者には適用されません。

そのため、就業規則が適用されていない場合は、使用者としての性格が強いと判断され、労働者性が否定されやすくなります。

役員報酬が労働者としての賃金を上回っていないこと

通常、兼務役員に対しては、役員報酬と労働者としての賃金の2つが会社から支払われています。

役員報酬が労働者としての賃金を上回る場合、労働者としての性格が否定されやすくなります。

役員報酬の方が多いということは、会社にとって労働者より役員としての立場・役割が重視されていると判断されるためです。

出勤義務があること

出勤義務があるかどうかも、労働者的性格を判断するうえで重要な要素となります。

法令上、労働者は「使用者の指揮監督下で労働の提供をし、労務の対償を支払われる者」のことをいいます。

そのため、決められた日時の出勤義務がない場合は、使用者の指揮監督下にあるといえず、労働者性が否定されることとなります。

兼務役員雇用実態証明書の書き方・手続き方法


兼務役員雇用実態証明書は、ハローワーク等からダウンロードすることが可能です。

具体的な書き方の注意点や手続きについては、下記の通りです。

必要書類兼務役員雇用実態証明書
目的役員の労働者性を証明すること
提出先事務所を管轄するハローワーク
提出期限呼応保険被保険者資格取得届と同時に提出する場合は、被保険者となった日の属する月の翌月10日まで
すでに被保険者である者が兼務役員になった場合はすみやかに
添付書類法人登記簿膳本
定款
就業規則・給与規定・役員報酬規程等
雇用契約書・賃金台帳・出勤簿など
組織図
役員就任に関する取締役会議事録

兼務役員雇用実態証明書は、従業員が兼務役員になる場合だけでなく、専任役員が兼務役員になる場合も必要です。

提出期限がそれぞれ異なるので注意しましょう。

また、添付書類について、既に被保険者資格を取得している場合は、「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」が必要になります。

兼務役員でなくなった場合

兼務役員が兼務役員でなくなった場合には、雇用保険被保険者資格喪失の手続きが必要になります。

具体的には次のようなケースです。

  • 兼務役員が代表取締役に選任された
  • 兼務役員が専任役員となった
  • 役員報酬が従業員報酬を上回った

また、兼務役員が退職する場合も、資格喪失届を提出します。

この場合、退職者が失業給付を希望する場合は、通常の労働者と同じように、離職証明書を作成して提出することになります。

無報酬の場合であっても兼務役員雇用実態証明書が必要

通常、兼務役員は役員報酬と従業員としての賃金の2つの支払いを、会社から受けています。

ただ企業によっては、従業員としての賃金のみを支払い、役員報酬は支払っていないというケースもあるでしょう。

この場合、たとえ役員報酬が無報酬であったとしても、役員としての地位を有する以上、雇用保険に加入するには、兼務役員雇用実態証明書が必要です。

提出しないと、あとから遡って処理が必要になる可能性があるので注意しましょう。

兼務役員雇用実態証明書を提出していない場合はどうなる?

兼務役員として雇用保険に加入するときは、必ず、兼務役員雇用実態証明書を提出しましょう。

兼務役員雇用実態証明書は、ハローワークが兼務役員にあたるかどうかを判断するために必要となる書類です。

兼務役員雇用実態証明書を提出していない場合、ハローワークはその役員が兼務役員に該当するかどうかを判断することができません。

あとから兼務役員にあたらないとハローワークに判断されると、会社は遡って資格喪失の手続きが必要になるなど、大きな手間がかかる可能性があるのです。

そうならないためにも、会社は兼務役員が雇用保険に加入したときは、忘れずに手続きをするようにしましょう。


会社役員や取締役も雇用保険に加入できる?兼務役員のポイントを解説|SATO社会保険労務士法人

役員が「兼務役員」に該当する場合には、例外的に加入できるケースがあります。そこで今回は、兼務役員にあたるかどうかのポイントや、兼務役員が雇用保険に加入する際の手続き等について、わかりやすく解説したいと思います。

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まとめ

兼務役員として雇用保険に加入するためには、兼務役員雇用実態証明書を管轄のハローワークに提出する必要があります。

提出を忘れると、遡って資格喪失の処理が必要になるなど、大変な手間がかかる可能性があるので注意しましょう。

兼務役員雇用実態証明書の手続きや、兼務役員の対応などについて、「よくわからない」「もう少し詳しく知りたい」という方は、ぜひSATO社会保険労務士法人にご相談ください。

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