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物流業界の2024年問題と走行距離250km|新たな基準の意味と対応策

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目次

2024年、物流業界を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。

働き方改革関連法の施行に伴い、自動車運転業に対する労働時間の規制が強化され、それが物流業界に与える影響を「2024年問題」と呼びます。

この2024年問題が引き起こす一連の変化に、適切に対応するためには、その背景と対策を理解することが重要です。

そこで今回は、物流業界の2024年問題について、トラックの走行距離がどう変わるのか、各業界への影響などについて解説をします。



物流業界の2024年問題とは


物流業界の2024年問題とは、働き方改革関連法の施行によって、時間外労働の上限規制が2024年4月1日からトラックドライバー等にも適用されることで生じるさまざまな問題のことを指します。

具体的には、2024年4月1日から、自動車運転業や建設業などに対して、年間の時間外労働時間は960時間までという上限規制が適用されるようになります。

さらに、働き方改革関連法によって、2023年4月からは、これまで大企業にのみ適用されていた、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率50%以上というルールが、中小企業にも適用されています。

この2024年問題によって、ドライバーの労働時間が減少することによる運送事業者の売上減少やドライバーの賃金低下による離職、さらには物流コストの上昇などが懸念されています。

トラックドライバーの走行距離は片道250㎞以下に

この法律の施行に合わせて、自動車運転業者の労働条件向上を図るための基準である改善基準告示も見直されます。

その結果、トラックドライバーの法定労働時間は960時間までとなり、年間の拘束時間も、現在の3516時間から3300時間まで引き下げられます。

ここでいう拘束時間とは、通常の労働時間と仮眠時間などの休憩時間を合わせた時間のことをいいます。

トラックドライバーは法定速度を遵守しなければならないため、労働時間が引き下げられれば、輸送できる距離も短くなります。

この2024年問題による規制によって、ドライバーの走行距離は1日500km、往復だと片道250kmを超えることは難しくなると考えられています。

荷主企業も、250Kmという1日の走行距離を前提とした物流体制を整える必要があります。

物流企業の2024年問題への対策

物流企業では、2024年問題を乗り越えるための対策が必要となります。

主な対策としては、まず、DX化による生産性の向上が挙げられます。

労働時間が減少する中で、これまでの業務量をこなすためには、業務効率を改善して生産性を上げることが重要です。

近年、物流業界においても、AIやIoTを活用したDX化が進んでいます。

例えば、ロボットを活用した倉庫内作業の自動化、配車管理システム、予約管理ツールなどを利用して業務効率を改善することが考えられます。


さらに、従業員の労働環境を改善し、人員を確保することも重要です。

2024年問題による主な懸念事項の1つに、ドライバーの人員不足があります。

賃金や福利厚生などの労働条件を見直すことで、より多くの人員を確保することが重要となります。

2024年問題についてお困りなら

2024年問題について、人事・労務管理に関することでお困りならSATO社会保険労務士法人にご相談ください。

2024年問題に対応するためには、システムツールの導入などのほか、労働条件の改善や、社内規定の整備などが必要です。

しかし、これらの対策をすべて自社で行うのは大変です。

人事や労務管理に関することであれば、SATO社会保険労務士法人が、日本最大の社労士事務所として、貴社の2024年問題対策を全力でサポートいたします。



2024年問題による荷主企業への影響


2024年問題は、物流企業だけでなく、運送を依頼する荷主企業に対しても、さまざまな影響が生じます。

物流企業では売り上げを維持するため運賃を値上げすることが考えられるため、荷主企業の収益にも影響がでるかもしれません。

また、ドライバーの労働時間の制約によって、荷主企業では運送にかかるリード時間の延長や、集荷時間の調整が必要になる可能性があります。

そのため、荷主企業は、集荷時間や納品スケジュールの見直しを行う必要があります。

さらに、上記で説明したとおり、ドライバーの1日の走行距離は片道250Kmに制限される可能性があるため、荷主企業も物流体制の見直しを迫られる可能性があります。

まとめ

2024年問題は、物流業界だけでなく経済全体に大きな影響を与えます。

しかし、この問題を適切に理解し、必要な対策を講じることで、新たな労働環境の創出や業績を維持することができるかもしれません。

そのためには、新たなテクノロジーの活用や労働条件の改善など、前向きな変革が求められます。

そして、SATO社会保険労務士法人は、その過程で必要になる人事・労務管理を全力でサポートいたします。

2024年問題についての詳細な質問や相談がありましたら、いつでもご連絡ください。



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