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中途採用等支援助成金とは?中途採用拡大コースをわかりやすく解説します

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目次

中途採用は、即戦力の確保や組織の多様性の向上等メリットも多く、企業にとって重要な採用手法となっています。

また、既存の社内メンバーに新たな刺激を与える効果もあり、新しいメンバーとの交流や知識共有により、組織全体の活性化や成長意欲の向上が期待できます。


その一方で、中途採用には、求人広告費用や採用手続き、面接等にかける時間と労力が必要となります。

採用後も、既存の社内メンバーやチームとの調和を図るために、適切なオリエンテーションやトレーニングが必要となります。

これらの要素が企業にとって負担となる場合もあり、中途採用に対して慎重な判断が必要な企業もあると思います。


そのような企業を支援するために政府は、企業が中途採用を積極的に推進するための支援策として、『中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)』という制度を導入しています。

そこで今回は、中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)について、わかりやすく解説していきます。


中途採用等支援助成金とは?


中途採用等支援助成金とは名前のとおり、中途採用をおこなった企業が受給することができる助成金です。

少子高齢化の影響で新卒者の確保が困難な現状において、人手不足に悩む企業は多く、人手不足解消の一つの手立てとして、中途採用を活用する企業が増えています。

しかし、採用活動にはさまざまなコストがかかるため、中途採用に対して非積極的な企業も少なくありません。

そのような企業が中途採用を活発化させ、企業の雇用拡大や経済成長を果たすことを支援するために、この助成金制度は導入されました。

受給要件も他の助成金と比べ厳しくないため、企業には積極的に活用してほしい助成金の一つです。

中途採用等支援助成金の2つのコース

中途採用等支援助成金には、2つのコースがあり、受給要件や助成内容は、各コースで異なります。

中途採用拡大コース

今回詳しく解説していくコースが、この『中途採用拡大コース』です。

中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用の拡大を図った場合、助成金を受給することができます。

具体的な「中途採用の拡大」の取り組みは、以下の2つです。

  • (A)中途採用率の拡大
  • (B)45歳以上の中途採用率の拡大

なお上記に加え、常時雇用する労働者が301人以上の企業は、中途採用比率を公表することも助成対象の要件となります。


※各取り組みの詳細については、他の章「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の受給要件について」の「助成金の対象となる措置」にて解説いたします。

UIJターンコース

東京圏から地方への移住者を中途採用した企業が、助成金を受給することができます。

対象となる移住労働者の採用活動にかかった経費の額に応じて、助成金が支給されるものです。

UIJターンコースは、地方の企業にとっては人材確保の手段として活用することができ、一方で東京圏在住の方にとっては、地方での新たなキャリアや生活の機会を提供する役割を果たしています。



中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の受給要件について

中途採用拡大コースの受給要件について解説します。

助成金の対象となる措置

本コースの受給対象となるのは、以下の取り組みを実施し、助成金の対象となる労働者を雇い入れた場合です。

【(A)中途採用率の拡大】および【(B)45歳以上の中途採用率の拡大】共通の取り組み

  1. 中途採用者に適用される雇用管理制度の整備にかかる中途採用計画を作成し、管轄の労働局に届け出ること
    (※ここで定義する雇用管理制度とは、募集・採用を除く、労働時間・休日、雇用契約期間、評価・処遇制度、福利厚生等)
  2. 1年間、中途採用の拡大に取り組むこと
  3. 中途採用計画期間中の中途採用率を、計画期間前3年間と比較して20ポイント(中途採用率拡大目標値)以上上昇させること
  4. 中途採用計画期間中に、対象労働者を2人以上雇い入れること

【(B)45歳以上の中途採用率の拡大】のみの取り組み

  • 中途採用計画期間中の45歳以上の中途採用率を、計画期間前3年間と比較して10ポイント(45 歳以上中途採用率拡大目標値)以上上昇させる
  • 当該45歳以上の労働者全員の賃金を、前職と比べて5%以上上昇させる

助成金の対象となる労働者

本コースの受給対象となるのは、申請事業主により中途採用計画期間中に雇い入れられた、以下のすべての条件を満たす労働者です。

  1. 申請事業主に中途採用により雇い入れられた者
  2. 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れられた者
  3. 期間の定めのない労働者(パートタイムを除く)として雇い入れられた者
  4. 雇い入れ日の前日から起算してその日以前1年間において、申請事業主の事業所で就労したことがない者
    (※出向、派遣、請負または委任を含む)
  5. 雇い入れ日の前日から起算してその日以前1年間において、申請事業主と密接な関係にある事業主に雇用されたことがない者
  6. 雇入れ時の年齢が45歳以上である者
    (※【(B)45歳以上の中途採用率の拡大】の場合のみ)

支給対象となる事業主

本コースの受給対象となるのは、以下のすべての条件を満たす事業主です。

  1. 雇用保険適用事業所の事業主であること
  2. 支給のための審査に協力すること
  3. 申請期間内(計画期間終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内)に申請を行うこと
  4. 支給対象者に対する賃金を支払期日までに支払っていること
  5. 支給対象者の出勤状況や賃金の支払状況等を明らかにする書類、および離職した労働者の氏名、離職年月日、離職理由等がわかる労働者名簿等の書類を整備・保管していること
  6. ⑥中途採用計画提出日の前日から起算して6か月前の日から、支給申請書の提出日までの間に、事業主が雇用している従業員を、事業主の都合によって解雇したり退職を促したりしていないこと
  7. 中途採用計画提出日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、特定受給資格者となる雇用保険法第23条第1項に規定される離職理由のうち、離職区分1Aまたは3Aとされる離職理由により雇用保険失業給付の手続きを取った人数が、中途採用計画の提出日時点における雇用保険被保険者数の6%を超えていないこと
  8. 過去に【(A)中途採用率の拡大】または【(B)45 歳以上の中途採用率の拡大】に取り組んだものとして、本コースの助成を受けたことがないこと
  9. 本コースの申請を行おうとする事業所が、中途採用計画期間開始日の前日から過去3年間、雇用保険適用事業所である事業主
  10. 中採用計画提出時点において、直近3事業年度において、各年度に採用した正規雇用労働者の中途採用比率を公表していること
    (※常時雇用する労働者が301人以上の企業のみ)

 助成金の対象に自社が該当するか不安な場合は、助成金に精通した社労士に相談してみることをおすすめします。

社労士は助成金の受給条件や申請手続きについて詳しく知っており、適切なアドバイスを提供してくれます。

自社の状況や条件に基づいて具体的な判断を下すことができますので、助成金の対象性を明確にするためには彼らの専門知識に頼ることが重要です。



中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の助成額について

助成額は、(A)および(B)の実施した取り組みごとに異なります。

  • (A)中途採用率の拡大・・・・・・・・ 1事業所あたり50万円
  • (B)45歳以上の中途採用率の拡大・・・ 1事業所あたり100万円

なお、(A)および(B)両方の取り組みについて支給申請することは可能ですが、2つの計画の期間が重複する場合は、1つの取り組み分しか受給することはできません。

両方の取り組みを満たしていても、150万円を受給できるわけではないことにご留意ください。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の申請の流れについて


本コースを受給しようとする場合、以下の手順で申請手続きを行いましょう。

雇い入れ前


(1)中途採用計画の作成

(2)中途採用比率の公表(※常時雇用する労働者が301人以上の企業のみ)

 ↓

(3)中途採用計画を労働局へ提出


計画の開始日の前日から起算して6か月前の日から、計画の開始日の前日までに、必要書類を用意の上、労働局へ提出します。

このように、本コースを受給するためには、給対象者を雇い入れる前に中途採用計画を作成し、提出する必要があります。

中途採用を実施した後に申請できる助成金ではありませんので、その点にご注意ください。

計画期間(1年)


(4)中途採用者の雇用管理制度の整備

(4´)対象となる労働者の雇い入れ

(5)(A)中途採用率の拡大
        (B)45歳以上の中途採用率の拡大についての取り組み


労働局へ提出した中途採用計画に基づき、計画を実行しましょう。

実際の取り組みが計画内容と異なると、助成金の受給ができなくなる可能性があります。

計画通りに実行するためには、スケジュールやタスク管理をしっかり行いましょう。

もしやむを得ず計画に変更が生じる場合は、速やかに中途採用計画(変更)届等の必要書類を労働局へ提出する必要があります。

また、中途採用者の雇い入れを中止する等、計画の実施が困難になり計画届を取り下げる場合は、支給申請書を提出する前までに、遅れることなく必要書類を管轄の労働局に提出する必要があります。

支給申請

計画期間の終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から、2か月以内に必要書類を用意の上、労働局へ支給申請を行いましょう。

事業主が支給申請を行った後は、労働局による申請書類の審査が行われます。

審査の結果、申請書類に不備や調査が必要な情報がある場合には、労働局から連絡が入ることがあります。

問題がない場合、審査が完了し支給決定が行われます。

その後、助成金が事業主に支給される流れとなります。

まとめ

中途採用は、求人広告や面接などに時間と労力がかかるものの、即戦力の確保や新たなアイデアの導入による組織の活性化など、企業にとって重要な採用手法です。

中途採用等支援助成金は、他の助成金と比べて受給要件も厳しくないため、自社が受給できる可能性が高い助成金です。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)を活用することで、企業の負担を軽減し、雇用の拡大を実現しましょう。

 ただし、助成金の申請は手続きが複雑で時間もかかるため、中途採用戦略と同時に助成金の申請を準備するのは困難な場合もあります。

その際は、助成金に詳しい社労士への相談や、申請代行も検討しましょう。

助成金の申請代行をご検討されている事業者様は、是非SATO社会保険労務士法人までご相談ください。

助成金を活用し、中途採用を成功させるために、適切なサポートをいたします。

お気軽にお問い合わせください。